実施設計図面作成の為、事務所にこもりっきり。
設計の過程には基本設計と実施設計があるのだが、いわゆる
基本設計は構想の骨組み、コンセプトデザインを方向付ける段階であり具体的には配置計画、平面図、立面図、断面計画の検討となる。
設計の精度はともかくこういうモノが創りたいという、根拠を見出し生み出す重要な過程・・・
ここが決まれば感覚的には6,7割はその建築の性格が確定するようなもの、「3つ子の魂100まで」という言葉どおり。
従来、大工さんはこの程度の図面でもあとは経験値と感覚だけでも十分建てることができたし、ハウスメーカーの設計図はこの程度の図面に棚、カウンター、開口部の大きさ等を確認する上で室内の内観を示す展開図と標準の骨組み、断熱、高さを示す断面の拡大図として矩計図(かなばかりず)を作成し、あとは仕様、仕上表によって材料、住設機器の選択内容が示されるのが一般的である。
場合によっては電気、給排水の位置図までを添付しているが、照明器具や内装デザインにおいてはインテリアコーディネーターが専門提案することに特化しているところもある・・・
設計者からすると純粋にモノを創る楽しみとプライドは基本設計から実施設計と監理という過程を一貫して経て建築プロジェクトの昇華に至るという思いがある。
実施設計はややもすると線引き図面作業という表現をする場合もあるが、これは基本設計段階で設計者が具体的なイメージ、技術、仕様を前提に構想できている上でそれを工事伝達する詳細な図面に早く書き起こしたいという意識である。
むしろ、技術的検証を進めながら納まり(つくりかた)を書いていると基本設計で考えていたデザインと細部設計(ディティール)に矛盾、解決難易度の高い検討部位が生じることも多い。
「薄く見せたい」というデザインコンセプトを想定するも、その造作方法や構造根拠を表現しきらなければ、あとは施工者の都合で造りやすいように経験値の範囲、いつもの方法で設計コンセプト無視になりかねない施工を覚悟することになる・・・
当然、標準仕様や既成品による依存度の高い設計であれば詳細図面は不要となってくる。
例えば浴室の詳細などはユニットバスの品番を記入し、建具も建材メーカのドア品番を記入すれば建具表を書いて一本一本デザインする必要もない。
しかし、実施設計における図面、詳細図には設計者の細やかなデザインの意図、技術想定が盛り込まれ、よりよい建築を創ろうとする思いが表現されるのである。
「マンガ書き屋」「設計屋はデザインばかりでこんな造り方実際現場ではしない・・」などということを設計事務所への影口的表現として聞いた経験もあるが、何よりも「こういうもの創りたい、こう創ってはどうか・・・」という提案と現場施工者がいかに技術的検証を進めていくかが実施図面、詳細図を介しての意志伝達でもあると思う。
・・・ということを思いながら「VIKTOR LAZLO」をBGMにモクモクと図面を書いている。
- 2008/04/09(水) 23:59:22|
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